はるかな願い

リードと出会った瞬間、サラは恋に落ちた。
黄金の草原が似合う、雄々しい人。
やがて二人は、だれもが認める恋人同士になった。
だがある日を境に、幸せに満ちた関係は暗転する。
一言も理由を口にしないまま、リードはサラのもとを去っていったのだ。
あれから十年の歳月が流れた。
今も私を見つめるとき、彼の瞳には悲しげな渇望が浮かぶ。
まだ愛してくれているはず……それなのに、なぜ?ひたすら彼を待ち続けたサラは、ついに大きな賭に出た。
カフェでぶつかった男性を見あげたとたん、フラーの胸がきゅんとした。
この人は、言葉にできない強いオーラを放っている。
ぼうっとしているあいだに、彼はフラーが落とした書類を拾い集めてくれた。
「きみのアイデアに興味を持った」いきなり名刺を差しだして言う。
まさか行きつけのカフェで、仕事のチャンスが巡ってくるなんて!こうなったら、ぜひ彼に雇ってもらわなくては。
フラーはざわめく心を抑えつけた。
ボスに惹かれるなんてルール違反だもの。
大会社のロビーでコリーは後悔していた。
父が急死したあと継母に全財産を持っていかれ、自活しなければならなくなった。
だからといって経験もないのに秘書の面接を受けるなんて、無謀なことをしてしまったわ。
すごすごと帰りかけたコリーに、社長がダークブルーの瞳をきらりと光らせ、呼びかけた。「実は、きみにもっとふさわしい仕事があるんだ」よかった! コリーは期待に胸が躍った。
こんな私にできるのは、いったいどんな仕事?余興のために結婚式に呼ばれた煙突掃除人の娘ジェマイマは、式場で居合わせた伯爵に幸せを運ぶキスを求められ、思わず胸がときめいた。
数日後、驚いたことに彼が家に訪ねてきて便宜上の結婚をしてはもらえないかと申し出る。
聞けば亡父の遺言で、花嫁を迎えなければ遺産を手にすることができないという。
「結婚しても、きみはきみ、ぼくはぼくで暮らそう」すてきな申し出だわ。
もう煤(すす)だらけの生活をしなくてもすむ。
ジェマイマはにっこり笑って承諾したのだが……。
ノルマンの王に土地を取り上げられ、意にそまぬ結婚を強いられたローズ。
すべてを失った彼女に残されたのは美しく貴重な福音書だけだった。
一度はイングランドの地から奪われ、亡き父が苦労の末に捜し出したその書は、ノルマン人の夫に抱かれながら、なお冷たく心を閉ざす彼女にとって、わが身より大切なものだった。
これだけは渡せない!ローズは自分の運命を呪いつつ、夫への復讐を誓うのだった。
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